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Shopify構築・活用ガイド

実店舗からECへ!Shopify POSでつなぐ販売チャネルの可能性

実店舗からECへ!Shopify POSでつなぐ販売チャネルの可能性がわかる画像

「Shopify POSって何?」
「実店舗との連携って本当にできるの?」

そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事ではShopifyと実店舗をつなぐ「Shopify POS」についてわかりやすく解説します。

本記事を読むことで得られることは以下の3つです。

  • 1. Shopify POSの基本機能と仕組みがわかる
  • 2. 実店舗との連携方法・導入手順が理解できる
  • 3. 利用前に知っておきたい注意点と対処法がつかめる

執筆者は、鳥栖市を拠点に中小企業のHP制作を10年以上手がけているWeb制作会社です。Shopify構築やEC支援に多数携わってきた経験をもとに、現場視点で解説しています。

この記事を読み終えた頃には、Shopifyと実店舗を組み合わせた売上アップの仕組みが明確にイメージでき、自社に合った導入の第一歩を自信を持って踏み出せるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

Shopify POSとは?基本情報と仕組み

Shopify POSとは?概要と提供形態

Shopify POSは、ECプラットフォーム「Shopify」が提供する公式のPOSアプリケーションです。実店舗での販売とオンラインストアでの販売をシームレスに連携させることができるのが大きな特徴です。提供形態はスマホやタブレットで使えるアプリで、iOSとAndroidの両方に対応しています。また、Shopifyの各プランに応じてPOS LiteとPOS Proの2種類があり、必要な機能や規模に合わせて選ぶことができます。

Shopify POSの基本的な機能

  • 実店舗とECサイトの在庫情報を自動で同期
  • スタッフアカウントによる販売履歴の管理
  • 割引・クーポンなどのプロモーション設定
  • 現金・カード・QRコードなど多様な決済方法の対応
  • 顧客情報の登録・閲覧、リピート顧客の管理

これらの機能により、販売・顧客・在庫のすべてを一元管理できる点が、小売業における大きなメリットです。

他のPOSレジとの違い

一般的なPOSレジは実店舗のみの管理を目的としているのに対し、Shopify POSはオンラインストアとのデータ連携を前提に設計されています。そのため、以下のような違いがあります。

項目 一般的なPOSレジ Shopify POS
在庫連携 店舗単体で管理 ECと自動同期
拡張性 独立した端末・専用ソフト アプリで機能追加可能
マーケティング機能 ほとんどなし 顧客管理・CRMと連携

このように、Shopify POSはECと連動して顧客体験を向上させる「統合型」のPOSであることが特徴です。

スマホやタブレットでの利用環境

Shopify POSは、iPhoneやiPad、Android端末で利用可能なアプリケーションです。特にiPadに最適化されており、見やすく操作しやすいインターフェースでレジ操作ができます。専用のキャッシュドロワーやレシートプリンターともBluetoothやUSBで接続できるため、コンパクトなレジ環境を構築できます。

Shopifyによると、2023年時点でPOSアプリの利用国は100か国以上に広がっており、モバイル端末でのPOS利用は年々増加しています。これにより、移動販売やポップアップストアでも活用しやすくなっており、多様な販売形態に対応可能です。

Shopify POSのメリット・デメリット

メリット①実店舗とECの在庫・売上管理が一元化

Shopify POSを活用することで、実店舗とECサイトの在庫や売上情報をリアルタイムで一元管理できます。これにより、「ネットでは売れているが店舗に在庫がない」や「在庫が二重に管理されてミスが発生する」といった問題を防ぐことができます。店舗とオンラインを統合した在庫管理は、販売機会を逃さないためにも重要です。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(2023年)」によると、物販系EC市場は前年比7.7%増と成長傾向にあり、実店舗とオンラインの両軸で販売機会を最大化する動きが加速しています。

メリット②アプリ連携でパーソナライズマーケティングが可能

Shopify POSはアプリ連携が充実しており、ポイント管理・メルマガ配信・レビュー促進など、外部ツールとの連携が簡単です。たとえば「Smile.io」などのロイヤリティアプリと組み合わせれば、購入額に応じたポイント付与や特典の設定もできます。

  • LINEやInstagram連携で来店促進
  • 誕生日メールで再来店を促進
  • レビュー投稿にインセンティブ付与

顧客一人ひとりに合わせたアプローチが可能になることで、ブランドへの愛着を高め、継続的な関係性構築につながります。

デメリット 外部決済サービスとの直接連携不可

Shopify POSは、Shopifyが提供する公式の決済端末(Shopify Payments)を使うことが前提となっており、Squareや楽天ペイなど一部の外部決済サービスとは直接連携できません。特に日本国内では、店舗側が既存で使っている決済サービスとの兼ね合いが問題となる場合があります。

対応策としては、外部端末を併用して処理する方法もありますが、オペレーションが煩雑になりやすいため、導入前に確認しておく必要があります。

Shopify POSの導入事例・活用イメージ

実店舗とECのシームレスな連携事例

実店舗とECサイトを同時に運営する企業にとって、在庫や売上の一元管理は重要な課題です。Shopify POSを導入することで、店舗とオンラインの販売情報が自動で同期され、在庫のズレや二重管理の手間を省くことができます。たとえば、実店舗で売れた商品の在庫がリアルタイムでECに反映されることで、誤販売のリスクを防ぎ、顧客満足度を高めることができます。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(2023年)」では、小売業におけるEC導入率は増加傾向にあり、店舗とECの両立が新たなスタンダードになっていることが示されています。この背景もあり、Shopify POSの導入は多くの小売店で進められています。

SNSと連動した販売施策の事例

SNSとShopify POSを活用したプロモーション施策も広がりを見せています。たとえばInstagramで商品を紹介し、興味を持ったユーザーを店舗に誘導。その後、店舗で接客を行い、POSを通じて顧客情報を登録することで、次回の購入をECで促すといった流れが可能になります。

  • Instagram投稿で商品の魅力を発信
  • 来店者に対しPOSで会員登録と購入履歴の記録
  • LINE連携などでフォローアップし再訪問を促進

このような「SNS→実店舗→EC」の動線づくりにより、複数チャネルを通じた顧客体験を高め、売上アップやリピーター獲得につなげることができます。

「CLASSICS the Small Luxury」導入事例

高級ハンカチブランド「CLASSICS the Small Luxury」では、Shopify POSを導入することで、全国の実店舗とECサイトを統合した販売管理を実現しました。従来は、各販売チャネルで個別に在庫・売上を管理しており、集計や在庫調整に時間がかかっていました。

導入後は以下のような効果がありました。

  • 実店舗とECの在庫がリアルタイムに同期
  • ギフト包装や名入れなどのオプションもPOSで対応
  • 顧客情報を統合し、ECと店舗で一貫した接客が可能に

このように、Shopify POSの導入は販売業務の効率化だけでなく、ブランドの顧客体験を向上させる手段としても非常に有効であることが分かります。

導入前に知っておくべき注意点・対策

クレジット決済には外部端末が必要な場合がある

Shopify POSでは、Shopifyが提供する決済サービス「Shopify Payments」および公式のカードリーダーを使用することで、スムーズなクレジット決済が可能です。しかし、日本国内では、Shopify公式の決済端末(Tap & Chipリーダーなど)が直接使用できないため、外部決済サービスの端末(例:SquareやSTORES決済)を別途用意する必要があります。

この場合、POSと外部端末が連携していないため、決済後の金額を手動で入力する必要があり、オペレーションが煩雑になることもあります。スムーズな会計を行うには、事前に対応する決済手段を整理し、必要な端末を準備しておくことが大切です。

Shopify POS独自の売上データ項目に慣れる

Shopify POSでは、通常のPOSシステムと異なる独自の用語やデータ項目が使われています。たとえば「注文番号」「販売チャネル」「POSスタッフID」などがそれにあたります。こうした用語やデータの構造を理解していないと、レポートの読み取りや管理に手間取ってしまう可能性があります。

事前にShopifyの公式ドキュメントやヘルプセンターを確認し、データ構造やレポート機能の仕様を把握しておくことで、導入後のトラブルを回避できます。スタッフへの事前研修も効果的です。

初期設定やカスタマイズには時間がかかることも

Shopify POSは、自由度が高い反面、初期設定にある程度の時間がかかることがあります。たとえば以下のような設定が必要です。

  • 商品データやバリエーションの登録
  • 税区分や割引ルールの設定
  • プリンターやキャッシュドロワーとの連携確認
  • レジ画面のレイアウトや表示項目のカスタマイズ

特に実店舗での運用を開始する直前にこれらの作業を行うと、トラブル対応に追われる可能性があります。余裕を持ってテスト注文やスタッフの操作確認を行い、万全の状態で導入することが成功のポイントです。

Shopify POSの導入手順

Step1. Shopify POSアプリをダウンロード

Shopify POSを導入するには、まずスマートフォンやタブレットに「Shopify POS」アプリをインストールする必要があります。App StoreまたはGoogle Playから無料でダウンロード可能です。なお、アプリの使用にはShopifyアカウントへのログインが求められます。

このアプリを使うことで、販売・顧客・在庫の情報を一元管理するPOS端末として利用できるようになります。タブレットにインストールすることで、レジ端末の代わりとしても活用できます。

Step2. 販売チャネルにPOSを追加

Shopifyの管理画面から、「販売チャネル」設定に進み、「POS」を追加します。これにより、オンラインストアと同じ商品データや顧客データをPOS上で扱えるようになります。複数のチャネルを統合して管理できる点がShopifyの強みです。

  • 「販売チャネルを追加」→「Shopify POS」を選択
  • 店舗名やロケーションの登録を行う
  • それぞれの販売拠点にスタッフを割り当てる

Step3. 商品・在庫の登録

続いて、販売する商品情報を登録します。すでにShopifyでオンラインストアを運営している場合は、その商品データが自動でPOSにも反映されます。初めて登録する場合は、商品名・価格・バリエーション・在庫数などを入力していきます。

また、商品のSKUやバーコードも設定しておくことで、POS画面での検索やスキャン処理がスムーズになります。カテゴリごとの並び替えやセット販売も設定可能です。

Step4. 税金と決済方法の設定

POS上で販売を行うには、税金の設定や決済方法の選択も重要です。地域ごとの税率を登録し、商品ごとに税区分を設定することで、正確な課税処理が行えます。

決済方法は以下のような選択肢があります。

  • 現金
  • クレジットカード(外部端末が必要)
  • QRコード決済(PayPayなど)
  • ギフトカードや割引コード

決済手段に合わせた運用準備を進めておきましょう。

Step5. 周辺機器(レジ・プリンターなど)の接続

Shopify POSを本格的に運用するには、ハードウェアの接続が必要です。代表的な周辺機器には以下があります。

  • レシートプリンター(BluetoothまたはUSB接続)
  • キャッシュドロワー
  • バーコードスキャナー
  • カードリーダー(決済用)

Shopifyが公式に推奨している機器を使えば、トラブルなく運用できます。専用のスタンドやケーブル類も含め、店舗の規模や運営スタイルに合わせた機器構成を検討してください。

Step6. テスト注文・決済

すべての設定が完了したら、必ず本番導入前にテスト注文を行いましょう。商品のスキャン、決済、レシート発行、在庫反映など、一連の流れが正常に機能するかを確認します。

テストでは以下の点をチェックします。

  • 商品スキャン時の認識精度
  • 割引・税金の計算が正確か
  • 決済手段が正常に動作するか
  • 在庫がリアルタイムで更新されているか

スタッフへの操作説明もこの段階で行うとスムーズです。事前のテストで不具合を解消しておくことで、導入初日の混乱を防ぐことができます

まとめ:Shopify POSで実店舗とECをつなぐ

Shopify POSは、ECと実店舗を連携させる強力なツールです。導入によって在庫や顧客データを一元管理でき、効率的な運営と販促が可能になります。実店舗運営においてデジタルとの融合を進めたい方は、Shopify POSの活用をぜひ検討してみてください。

  • 1.Shopify POSは実店舗向けツール
  • 2.在庫・売上を一元管理できる
  • 3.スマホ・タブレットで運用可能
  • 4.他チャネルと連携しやすい
  • 5.専用機器が必要な場合がある
  • 6.導入には段階的な設定が必要

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